Character · 永楽王朝
Empress Ma
あの人がいなくなってから、
私の心は、ずっと凍っている…
| 名前 | 馬皇后(まこうごう)/ 馬氏(ばし) |
|---|---|
| 身分 | 洪武帝(朱元璋)の正妻・明の初代皇后 |
| 出自 | 養女。実の親の記憶なし。色目人の血を引く |
| 表向きの評価 | 母性がない・子供を愛せない冷たい女 |
| 実態 | 流産後、ほぼ引きこもり。表には李淑妃が出る |
| 関係者 | 洪武帝、陳友諒(唯一愛した男)、藍玉、李淑妃 |
養女として養親に遠慮しながら育ち、素直に愛された記憶がない。愛され方を知らないまま大人になった。
馬皇后
……愛し愛されるって、どういうことなんだろう。
私はそれを知らない。
流産を経験し、表に出ることをやめた。洪武帝の正妻という立場でありながら、存在しないかのように生きていた。
彼女が後悔しているのは子を産んだこと自体ではなく、自分の意思が無視されたことだ。 身体が勝手に決めてしまう。妊娠、子は意思に反し勝手に育ち、産まされる。そこに自分の意思は全くない。
周りの「良い母」たちが自分自身を殺しているように見える。 「子供を無条件に愛すべき」「自己犠牲は美徳」——それを彼女は脅威・暴力だと認識している。
馬皇后
私は、母になれなかった。
子供を愛せない自分を、責めたりはしない。それが、私だから。
実際に表に出ているのは李淑妃だ。尼僧出身の糟糠の妻。 洪武帝より人徳があり、後宮を統べ、全ての妃に尊敬されている。 世間は李淑妃が実質的な皇后だと思っている。表に出ない馬皇后の存在はほとんど知られていない。
馬皇后
それでいい。
私に、表に出る資格なんて、ない。
だいぶ前、明の策で陳友諒の傍に送られた。真意をまったく知らされないまま、ただ彼の前に立った。
友諒の前でだけ、彼女は心を溶かした。 当時はまるで動物みたいな日々だったと彼女は語る。「でも、それが、生きてるってことだった」と。
友諒が「天下を捨てて漁師になる」と言ったとき、彼女は初めて自分の意思で頷いた。
しかしその約束は引き裂かれた。馬皇后は連れ戻され、友諒は戦場に残された。
鄱陽湖・1363年
藍玉の刃が止まらない瞬間、友諒は一瞬だけ微笑み、彼女の前に自らの体を差し出した。 、即死した。 目を見開いたまま、倒れた。 血が、彼女の頬に跳ねた。 彼は、何も言わなかった。
その後
涙も出ない。何も感じない。感じてはいけない——と、心が命じる。 これが彼女が凍った瞬間。
彼女はずっと「男の愛はすべて下心からくる」と思っていた。 しかし友諒は、彼女を庇って死んだ。 それは無償の愛そのものだ。 でも既に受け入れる器が、壊れていた。
馬皇后
あの人の愛は、本物だった……
でも、私は……
最後まで……疑っていた……
信じられない自分だった……
この自責が、彼女を壊した。
現在、藍玉の家で暮らしている。藍玉と関係を持ちながら、心は永遠に友諒のままだ。
馬皇后
藍玉といると、少しだけ、生きてる気がする。
でも、それだけ。
藍玉
彼女の心は、永遠に別の男のところだ。
愛し方を知らず、愛されることも知らなかった。
たった一人、愛したかもしれない男がいた。
その男を失って、彼女は凍った。
無償の愛を受け入れきれない自分に絶望。
彼女は冷たいのではない。
壊れているだけだ。
Empress Ma · 凍った皇后