🐉チビ朱棣ちゃん

🐾チビ朱棣ちゃん 性格まとめ

🍀チビ朱棣ちゃん🍀

チビ朱棣ちゃん——自己犠牲の権化


この子は、最初から間違った場所に生まれてきた。

金髪碧眼の、人形のように愛らしい顔をした十歳の少年。宮廷の廊下を歩くたびに、大人たちの視線が一瞬止まる。可愛い、と思う視線となぜこの子だけ色が違うのか、という視線半々だ。本人は自分がいてはいけない場所にいるような気がして、いつも少し、身を縮めて歩いている。

望みは、何もなかった。

野心も、権力欲も、天下への夢も、何ひとつない。山にこもって本を読んで、静かに生きられたら、それでよかった。争いが嫌いで、目立つことも嫌いで、できれば誰とも対立せずにいたかった。そういう子だった。ただ、弟の朱橚が病弱な体で上を目指し必死に文武に励んでいるのを見ると、胸が痛くて、自分も机に向かわずにいられなかった。
自分のためには何もしないのに、誰かのためなら立ち上がれる。それがこの子の、唯一の強さだった。

母親に、愛されたかった。

それだけだった。本当に、それだけだった。

馬皇后は愛せなかった。心が壊れていて、自分の子を抱きしめる力が残っていなかった。李淑妃は母の役目を果たそうと頑張ってくれ、優しかったが、血はつながらない。後宮に新しい妃が来るたびに、この子は喜んで駆け寄っていった。「新しい母上ですね」と言いながら。寵愛を失った者、子を持てない者たちにも同じように「母上」と呼びかけた。誰でもよかったわけではない。ただ、どこかに自分を無条件に受け入れてくれる人がいると信じたかった。その希望が、愛情飢餓の子の、最後の砦だった。

甘えるときの声は「フミュウ~」だった。

レッサーパンダに変身しあざとさを増す。

大人しく反抗しない朱棣は兄たちにいじめられていた。性加害を含む、酷いものだった。それでもこの子は反抗しなかった。儒教の教えが身体の奥まで染み込んでいて、理不尽を受けても「孝」を守り、傷ついた分だけ自分を罰した。外からではなく、内側から、この子を縛る檻があった。道衍和尚はそれを見抜いていた——この子の病は、優しすぎる魂に食い込んだ時代の毒だ、と。

そして十歳の秋、意図に反し遼東に派遣された。

自分を虐める兄たちのいない、儒教倫理の外にある初めての場所。そこで李成桂という男に出会った。寡黙で、大柄で、異国の将軍だった。
チビ朱棣はいつものように懐いた。一方的に喋り続けた。李成桂は常に無表情で「うむ」「そうか」しか言わなかった。それでも、翌日も喋りかけた。その次の日も。李成桂は一度も拒まなかった。

ある夜、並んで横になりながら、チビ朱棣は顔色をうかがいながらそっと聞いた。

「あの……俺……鬱陶しくないですか」

「思ったことがない」

即答だった。

その瞬間、何かが決壊した。チビ朱棣は声を上げて泣いた。「フミュウウウ」という、子供らしい、惨めな、でも本物の泣き声で。李成桂は何も言わなかった。ただ、大きな手で、そっと背中を叩いた。

当時の遼東、結構な危険地帯。

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